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2007年10月12日

キジムナー(妖怪)の友情を仇にした男

キジムナー(妖怪)の友情を仇にした男その昔、真謝の民家のウスク下『あこうの木の根っこ』にキジムナーが居を構えていました、毎晩海に出て貝をとり、酒のサカナにしてちびりちびりやるのが常でした。ある日松寿と言う若者を誘って海に魚介類を取りに行きました、松寿は妻がいる平凡な若者でしたが、キジムナーは毎晩若者を誘いにくるようになり若妻は床をともにして語ろうにかなえられず、わびしさは日に日につのるばかりで参ってしまい、若妻は夫の友のキジムナーを怨むようになりました。
若妻はキジムナーと夫が魚とりに出かけている時に、とうとうキジムナーが棲んでいるウスクの根っこを焼き払ったそうです、
キジムナーは若妻がわざと焼いたとも知らず沖縄本島の安里八幡のウスク下に引っ越しました。それから何年か経って若者は
所用があって那覇に出ました。ついでに安里八幡のキジムナーを訪ねましたが、勝手がわかりません。近くの民家で様子を聞いてみようと、カヤぶきの小屋で一人のみすぼらしい男が炉でお茶をわかしながら縄をなっていました。若者は問わず語らずのうちに、ことのしだいを全部しゃべってしまいました。すると今まで耳を傾けていた男が突然立ち上がり、カマドにくべてあった燃えさしのマキを握るや、若者の顔に突きつけて叫びました。「さては、お前の妻が俺の棲家を焼いたんだな。友情を仇で返すやつ、こうしてやるわ」と、燃える火を片目に突き刺しました。若者はうっかり口をすべらせたために、わざわざ安里八幡まで出かけて、生まれもつかぬ片目にされてしまいました。それからというものは、ウスク家には、子孫は眼病者がたえないということです。


『いくら好きな夫でも、友達づき合いまで拒む独占欲の強い女はいけないと、島の人たちは今でも語り合っています。』


「島尻郡誌参照」




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